リジュセア®ミニ点眼液0.025%による近視進行抑制治療
近視とは
目の中に入った光のピントが合う位置が網膜より前になっている状態のことをいいます。近視のほとんどは眼球が前後に伸びることで起こります。
近視の進行時期
眼球は体が成長する時期に伸びることが多く、低年齢の頃に速く伸びる可能性があります。
近視進行抑制治療の目的
近視は子供のときほど速く進む可能性があります。早い段階からできるだけ近視が強くなるのを避けることで、将来の見え方を守り、目の病気になる可能性を低下させることが治療の目的です。
近視の程度と目の病気の関係
近視は進行すると軽度であっても、将来、緑内障や網膜剝離などの視力にかかわる病気になる可能性があります。
近視度数と眼疾患のオッズ比(海外データ)
| 近視度数(単位:D) | 白内障 | 緑内障 | 網膜剥離 |
|---|---|---|---|
| 弱めの近視(-0.5≧SE>-3.0) | 2 | 2 | 3 |
| 中程度の近視(-3.0≧SE>-6.0) | 2 | 3 | 9 |
| 強めの近視(-6.0≧SE) | 3 | 3 | 13 |
SE:等価球面度数Haarman AEG. Et al.: Invest Ophthalmol Vis Sci., 61, 49 (2020)より作表オッズ比とは、ある因子が病気の発症に関連する程度のこと。数字が大きいほど関連性が強い。ただし、オッズ比はその因子が何倍病気になりやすいという意味ではありません。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%とは
リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、低濃度アトロピン硫酸塩水和物を有効成分とする点眼薬で、小児(5~18才)の近視進行を抑制することを目的として開発された製品です。2025年4月下旬に参天製薬から発売され、日本初の近視進行抑制を目的とした点眼剤として注目されています。眼鏡やコンタクトレンズと併用可能です。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%の詳細
- 有効成分:低濃度アトロピン硫酸塩水和物
- 目的:小児の近視進行を抑制する
- 特徴①:従来のアトロピン点眼薬よりも低濃度で、副作用である散瞳(まぶしさ、手元が見えにくいなど)を軽減する工夫がされている
- 特徴②:防腐剤フリーで、長期使用時の副作用のリスクを軽減している
- 使用方法:1回1滴、1日1回就寝前に点眼する
- 注意点①:近視の進行を完全に止めるわけではなく、視力を回復させるものでもありません
- 注意点②:コンタクトレンズを使用している場合は、レンズを外した後に点眼する
- ※①近視進行抑制治療をご希望の方には、こちらの説明書をお渡しします。
- ※②治療開始時には、当院から「治療に対する同意書」と「アンケート用紙」をお渡しし、記入できましたら治療開始とします。
よくある質問
- 近視進行抑制効果はどの程度ですか?
- 国内の臨床試験では、5~15歳の小児を対象に、24ヶ月間の投与で近視度数を約39%、眼軸(目の長さ)の伸びは約32%抑制され、近視進行を有意に抑制することが確認されました。
- 視力は回復しますか?
- リジュセアミニ点眼液は近視の進行を抑制するための治療であり、視力を回復させたり弱めたりするものではありません。
- どのくらいの期間、点眼を続ける必要がありますか?
- 近視の進行は主に成長期に著しいため、多くの場合、成長が落ち着く時期まで継続することが推奨されます。具体的な治療期間は個々の患者さんの状態に応じて医師が判断します。
- 点眼を止めると、また近視が進行しますか?
- 点眼を中止すると一時的に近視の進行が早まる可能性があると報告されています。自己判断で中止せず医師の指示のもとで治療の継続・終了をご判断下さい。
- 副作用はありますか?
- 瞳孔拡大、調節障害(近くが見づらい)、まぶしさ(羞明)結膜充血などが報告され、他に視力障害、頭痛、眼瞼湿疹が起こることも報告されています。全身への重篤な副作用は報告されていません。最初の1ヶ月間はお試し期間となります。副作用は比較的軽度が多いです。
- 眼鏡やCLとの併用や、オルソケラトロジーとも併用できますか?
- どちらも可能です。オルソケラトロジーとの併用は近視進行抑制にさらに効果が考えられます。
